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チータについて
始めに
1.チーターの紹介
2.問題点
3.遺伝的多様性
4.チーターについて
5.データシート
6.種族について
7.ドクター・マーカー著「STUDBOOK」について
8.書籍紹介
9.ギャラリー
5. データシート - Cheetah Facts
分類: 食肉目 Carnivora
科: ネコ科 Felidae
属: チーター属 Acinonyx
種: Jubatus
肩高: 約 76 cm
体重: 35 kg〜 65 kg
体長: 約 120 cm、尻尾の長さ:約 70 cm |
画像提供 Hiro様 |
世界で一番早く走る陸上の哺乳類、チーターはネコの仲間の内で最もユニークな、特殊化した一種で、
その走るスピードは時速112kmにも達します。他のネコの種類と違って、チーターは引き締まった体と長い脚で、
ネコ科の中でも「グレーハウンド(猟犬)」と言われています。チーターは攻撃的ではないので、闘争の際は走って
逃げてしまいます。弱いあごと小さな歯では(スピードという代償を受け取っているとはいうものの)チーターは
自分達の獲物や子供を守るために大きな捕食動物と戦うことはできないのです。
チーターはよくヒョウと間違われがちです。チーターの特徴的な点は目のふちから口にかけて、鼻の両側に長い涙の
後のような線があることです。チータの毛皮は黄褐色か淡黄色で、直径約2センチから4.5センチの黒い斑点があります。
白いお腹の部分には斑点はなく、尻尾には斑点がくっついた形になった4つから6つの黒い輪があります。尻尾の先は
たいてい白いふさふさの房があります。オスは少しメスよりも大きく、頭もすこし大きめになっています。しかし
外観からオスとメスの区別をするのは難しいでしょう。
生まれたばかりの子供の毛皮は色濃く、斑点は一体となりほとんど見えません。生後の数週間、マントとも言われる
この濃い黄色がかった灰色の毛皮は子供のチーターの背中にそって生えます。この濃い色で子供のチーターは影と
一体化するのを助け、このマントは雨や太陽に対しての温度自動調節をする傘の役割や、乾いた枯れ草に偽装をする
役割をしているなど色々な目的があると考えられています。そのマントで、他の肉食動物が近づかないラーテルと
いうイタチ科のとても危険な肉食小動物のような姿に見せ、身を守る役も果たしていると考えられています。
このマントは約3ヶ月で消え始めますが、その名残は短いたてがみとして2歳過ぎまで見られます。
チーターはスピードに関して空気力学にそった体形をしていて、止まっている状態から時速64キロメートルまで
3歩で加速することができ、最高速度の時速112キロメートルまでは数秒で達することが出来ます。チータが走っている
とき一本の足だけが地面についています。体をいっぱいに伸ばしその後完全に縮めるように走るため、20歩から25歩の
間にはどの足も地面についていない地点が2箇所あります。全速力に近くなると、一秒間に約3歩で走ります。高速で
獲物を追いかけている場合、呼吸数は一分間に60回から150回まで上昇し、疲労するまでに360メートルから540メートル
程しか走ることができません。その時は他の肉食動物に対して非常に弱い状態で、獲物を取られてしまうだけでなく、
攻撃される場合もあります。
写真提供 Hiro様
チーターは強靭な心臓、特大の肺、そして大きくて強い動脈を授かり、その多くを適応することを通して、スピードが
専門となりました。小さな頭、平たい顔、短い鼻先のおかげで最大の視力を発揮するために大きな目が位置づけられ、
広がった鼻孔、広く空気が満たされた鼻腔などを持っています。体は厚みがなく、長くて細い脚を持ち体重も軽く、
そして高い加速力のため同時に働き、四肢を早く動かすのを助ける特殊な筋肉を持っています。走っているときにより
歩幅が広がるよう、四肢を交互に縮めたり伸ばしたりするため、腰や肩甲は上下に曲がる柔軟な背骨の上で回転するように
動きます。長くたくましい尻尾は体を支え、バランスを取るるための安定装置と梶の役割をしており、転がるのを防いだり、
すばやい方向転換や早い速度で獲物を追いかけている時の急カーブを曲がるのにも役立っています。短くて先の尖って
いない半分引っ込めることのできない爪を持つ唯一のネコ科の動物で、この爪は走っている時に地面との摩擦に対する
滑り止めのようにしっかり地面をとらえる役割をしています。足先は他のネコ程丸みを帯びておらず、足の裏は硬く、
タイヤの溝型のような形をしていて、すばやく切れのあるターンを可能にしています。
分布
1900年代にはアフリカからアジアにかけての少なくとも44カ国で100,000頭以上のチーターが発見されたと推定されて
います。現在20カ国以上の国でチーターは絶滅し、9,000頭から12,000頭が残っており、ほとんど小さな集団がアフリカの
24カ国から26カ国で、200頭あまりがイランで見られます。チーターは絶滅寸前種として指定されていて、ワシントン条約
(CITES)の付属書T(絶滅の危機に直面している種)に記載されています。
20世紀より前にはチーターはアフリカ、アジアを通して広く分布しており、当初はアフリカの喜望峰から地中海まで、
アラビア半島や中東の地域、イスラエルからインド、そして旧ソビエト連邦の南の地域の生息適応地域で見られました。
現在アジアチーターは居住地と獲物の減少によってほとんど絶滅してしまいました。1952年にはインドで絶滅の宣言がされ、
1956年にイスラエルで最後にチータが見られたと報告されています。現在イランでのみアジアチーターの200頭強が小さな
孤立した集団で生息しているという報告がされています。
野生チーターは北アフリカ、サハラ砂漠の南縁にあるサヘルと呼ばれる地域、東アフリカ、そして南アフリカを含む
アフリカの広大な地域でまだ見られます。チーターが存在する国の半分以下でしかチーターの存続が見られないでしょう。
このような減少した生息数は生き残ったチーターが小さい、多様性のない遺伝子群から生まれてきていることを意味します。
生息地の喪失、獲物の減少、家畜農家との摩擦などにより、チーターの数は減り続けています。ライオンやハイエナの
ような他の大型捕食動物との競争の増加のため、アフリカ中の野生動物保護区においてもチーターの保護は上手くいかず、
そしてほとんどの保護地域がチーターの生存を維持することはできないのです。そのため、残存するチーターの多くの
割合が保護区以外で生活し、人間との争いに直面させられているのです。現在チーターの最後の本拠地が2つだけ残されて
います。南部アフリカのボツワナ共和国/ナミビア地区と東部アフリカのタンザニア/ケニア地区です。ナミビアの比較的
手付かずの地方、世界で最もチーターが残っている生息地にチーター生存の最も大きな希望がかけられています。しかし、
そこでさえここ10年間でチーターの数は急激に半分まで減少し、2,500頭を下回っていると予測されています。
習性
チーターは一般に広い土地や草原にいる動物と考えられています。この印象はたぶん短い草の中だとチーターを発見し
やすいからでしょう。しかしチーターは広範囲に様々な居住地をもち、植物が密生している場所や山地でさえしばしば
見られます。
チーターは狩りを視覚に頼っているので昼行性です。つまり夜間より昼間の方が活動的ということです。主に、暖かい
気候では気温が下がる早朝か午後遅くなってから活動します。
ウサギから小さなアンテロープや大きなアンテロープの子供と様々な動物を捕食します。狩りの方法はできるだけ近く
まで獲物に忍び寄り、全力疾走し獲物が転ぶように前足でつまづかせます。そしてのどを噛んで窒息死させるのです。
チーターは考えられていたよりも社交的です。単独か小さなグループで行動します。メスのチーターは20ヶ月から24ヶ月で
性的に成熟します。一日から一週間交尾の期間が続きます。メスの妊娠期間は90日から95日でその後6匹くらいまでの子供を
生みます。メスは長い草の間や、低い木の下、密生した藪の中、岩の中に静かな隠れ場所を見つけます。生まれてきた時の
子供の体重は255グラムから425グラムです。
チーターの子は生まれてきた時は目が見えなく全く無力ですが、急速に発育します。4日から10日後には目は開き、
巣の周りをはって歩き始め、3週間で歯が生えてきます。多種の肉食動物からの捕食の可能性があるため、母親は数日毎に
子供の住みかを移します。最初の6週間母親はほとんどの時間狩りのために子供たちだけを残しておかなければいけません。
またかなり長い距離を食べ物を探しにいかなければいけないかもしれません。この期間、子供達の死亡率は捕食のため野生で
最高90パーセントもの確率なのです。6週間経つと子供達は母親について行き、母親の獲物の肉を食べ始めます。この時期から、
母親と子供は離乳時期まで一緒に過ごします。
写真提供 Hiro様
子供は急速に成長し6ヶ月で大人の半分の大きさになり、8ヶ月には最後の乳歯が抜け落ちます。ちょうどこの時期子供達は
獲物を不器用に追い詰めたり、捕まえようとしたりします。遊びの行動様式が狩りの方法を学ぶ多くの過程となっています。
子供達はお互いにこっそり忍び寄ったり、追いかけっこをしたり、もみ合いをしたり、大きすぎて自分たちでも捕まえることは
できないと分かっている獲物を追いかけたりします。ホロホロ鳥、フランコリン、ウサギや小さいアンテロープのような
色々な動物を狩る方法を学びます。母親から離れる時でさえもまだ熟練したハンターではないのです。
母親は子供が16ヶ月から18ヶ月の間に再び子を生むため彼らの元を去り、同じ周期を始めます。子供達はその後数ヶ月、
たいていメスの子供達が性的に成熟する時期に達するまでは一緒に過ごします。このときオスの子供達は優勢な繁殖期の
オスのチーターに追い払われます。オスの子供達は残りの一生を一緒に過ごし、集団を結成します。オスの集団はライバルの
オスのチーター達から領域を取得、確保を助けるのに有益になります。オスの集団は2年から3年の間に生殖活動が活発に
なります。
チーターと人間
ヒーターの人との長いつながりは紀元前約3,000年のシュメール人の時代にさかのぼり、彼らの公印には頭にフードを
かぶり鎖につながれたチーターが描かれています。初期の北エジプトではチーターはネコの女神であるマフデトとして
知られ、王族の象徴として崇拝されていました。人なれしたチーターは王位を守る象徴として古代エジプト王ファラオの
近しい友として飼われていました。チーターの多くの像や絵画が王族の墓から見つかっていて、チーターはファラオの
霊魂をすばやく来世に運ぶと信じられていました。第18、第19王朝まではチーターは狩りの友として犬と匹敵するくらい
人気があったということがいくつかの絵画からわかっています。
エジプトから中国にかけて王室でチーターが飼われていたという重要な記録が14世紀、15世紀、16世紀にかけて残されて
います。チーターと狩りをすることは食べ物を取るためではなく、そもそもこれは王室の人には必要のないことなので、
スポーツの一種とされていました。このスポーツはコーシングという狩猟ゲームとして知られていました。すでに狩猟
能力発達した大人の野生のチーターを捕まえ、数週間の内に飼いならし訓練されました。チーターに標的が見えないように
フードを被せ、繋がれていたり、荷車に乗せられたり、あるいは騎手の後ろの枕の上に座らせ馬で、獲物の近くに
連れて行きます。それからフードが取られ、獲物を一目散に追いかけ、捕まえました。訓練師がチーターに肉の褒美を
与えた後、元の家畜小屋に戻されました。
たくさんの皇帝が常に数百ものチーターを家畜小屋に飼っていました。これだけ多くのチーターが飼育をされていた中、
たったの一度だけ子供が生まれた例が、16世紀インドのムガール帝国の偉大な皇帝アクバルの息子ジャハーンギールに
よって記録されています。49年にわたる統治の間、偉大な皇帝アクバルは「カーサ」や「インペリアルチーターズ」
呼ばれていた合計9,000頭を超えるチーターを所有し、細かい記録をつけていました。
「狩りをするヒョウ」として飼われていた全てのチーターは野生から捕まえたものでした。この継続的な人口の流出に
よってアジア全体のチーターの数は減少しました。1900年代前半、インドとイラクは狩猟目的のチーターをアフリカから
輸入し始めました。
生き残りへの挑戦
分子遺伝学の分野での野生チーターと捕獲されたチーターの研究は、過去一万年間の近親交配が引き起こしたであろう
遺伝的変異の不足を指摘しています。このような遺伝子の同一性の因果関係が生殖の異常体や、高い幼児死亡率そして
病気になる確率を高め、適応力を低下させ、生態学的な変化、環境の変化に対し弱くしています。
画像提供 Hiro様
残念なことに、捕獲して繁殖させる努力がチーター生存の希望につながることが証明されていません。世界中の動物園で
飼育下の繁殖がこれまで通り困難だという同じような状況が再確認されています。数千年もの間、捕獲し育てて人の目に
触れてきたにもかかわらず、16世紀に偉大な皇帝アクバルの息子によるたった一匹のチーター出産の報告以来の繁殖の
成功は1956年のフィラデルフィア動物園からだけでした。飼育下でも容易に繁殖する他の「大型のネコ」と違って
捕獲されたチーターは自分たちで繁殖できず、それ故飼育下のチーターを維持するために野生のチーターを持ち込むという、
今日の動物学上の目的に反した制度を実行しています。世界の多くの施設から繁殖の報告はされてはいますが、
非常に少ない確率で繁殖し、子供の死亡率は高いのが現状です。野生で捕獲されるチーターのさらなる輸入の欠如で、
捕獲されている数の減少が予測されています。この傾向が継続的な野生チーターの数の減少と相まりチーターの絶滅危機の
可能性を非常に大きくしています。
保護活動
上記の問題に直接取り組み、自然の生息地でチーターを保護をする技術を講じるため、1990年にチーター保護基金(CCF)が
創立されました。CCFは野生のチーターの世界的な保護活動を目的とした、現地での唯一、完全に確立した団体です。
最多のチーターが残存、生存している本拠地であるアフリカのナミビアに、1991この長期に渡る目的のために、年永久の
拠点として設立しました。CCFの主要任務はチーターの保護と野生動物保護区以外の管理計画に焦点を当てています。
調査を行い、情報を広め、長期間にわたる野生チーターの生存を導く保護管理の方法を施行しています。この活動は
ローリー・マーカー博士によって指揮されています。
CCFの全般的な方針はアフリカの適した居住環境における野生チーターの生存の確保です。CCFの長期の目標は以下のことに
焦点をあてています。1)チーターの調査と保護教育 2)家畜と野生動物の管理、教育そして指導。ナミビアでは他の
アフリカ諸国でも適応できるようなプログラムが開発されています。目標は生存可能なチーター数維持を推進するための
有効な手段を開発すること、その目標は結局のところ個人の意欲とチーターが住む地域社会の能力に大いにかかっています。
長期プログラムの一環として下記の基本データーの収集より得た知識を通して保護活動の開発をしています。基本データとは
a)ナミビアの農場地域におけるチーターの分布と行動 b)引き続いているチーター絶滅に繋がる諸問題 c)野生チーター
人口の全体的な健康の査定 d)家畜農家とチーターの衝突を軽減させるための管理実習 e)家畜と野生動物の管理と
野生動物とチーターを支えるバランスの取れた生態系を保つための教育の開発 f)成功したプログラムの、チーターが
危機に面している他の国における適応 を含みます。このプログラムから得た知識によってナミビアで長期間チーターが
生き延びるための方法が示されています。そしてチーターの本来の居住地である各場所の保護は意義深く、99%がナミビア
血統である捕獲チーターを守っていくことに貢献しています。
絶滅してしまっては遅いのです、チーターの存続はあなたや私の肩にかかっています。私たち一人一人の肩にです。
チーター保護基金はすべての人達が協力していける橋渡しをしているのです。
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